MGCへの出場権、そして日本代表の座をかけた戦いが、すでに静かに動き出しています。
「今シーズン、どの大会がその舞台となるのか?」
「どの大会に注目すればいいのか?」
「その大会にはどんな特徴があるのか?」
選手のタイプや狙いによって意味合いが変わるからこそ、一つひとつの大会に目を向けることが、MGCシリーズをより深く楽しむ鍵になります。
MGCシリーズの全貌をつかめ!2025-26年の主な大会とは
MGCシリーズ2025-26では、今シーズンの代表争いを左右する注目レースが次々と発表されています。
それぞれの大会がどんな意味を持ち、どのようにシリーズに組み込まれているのか。
ここで一度、全体像を整理しておきましょう。
この章では、シリーズ対象大会の概要と日程を解説します。
「MGCシリーズ対象レース」とは?
「MGCシリーズ対象レース」とは、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)や愛知・名古屋2026アジア競技大会等への出場権をかけて戦う対象レースのことです。
これらの大会は、日本陸上競技連盟がMGCシリーズの一環として指定しており、シリーズの期間内に行われる複数のマラソン大会が該当します。
各大会には「G1」「G2」「G3」といったグレードが設定されており、記録や順位に応じてMGC出場のための選考条件が与えられます。
特にG1大会は、上位入賞者や一定タイムを突破した選手にMGC出場権が与えられ、代表争いの中心となる重要な舞台です。
今回の記事では、MGCシリーズ2025-26においてすでに大会日程が発表されているレースを紹介していきます。
これらの大会を通じて、「最も強い」「最も速い」「最も勢いのある」日本代表候補が選ばれていくことになります。
MGCシリーズ2025-26大会一覧
MGCシリーズ2025-26大会を開催順に並べた表を以下に掲載します。
開催日 | 大会名 | グレード |
2025年4月20日(日) | 第27回長野マラソン | G3 |
2025年8月31日(日) | 北海道マラソン2025 | G2 |
2025年11月16日(日) | 神戸マラソン2025 | G3 |
2025年12月7日(日) | 第56回防府読売マラソン | G1 |
2025年12月7日(日) | 福岡国際マラソン2025 | G1 |
2026年2月1日(日) | 第74回別府大分毎日マラソン大会 | G1 |
2026年2月22日(日) | 大阪マラソン2026 | G1 |
2026年3月1日(日) | 東京マラソン2026 | G1 |
このように注目のG1レースは年末12月から3月にかけて行われます。
マラソンファンとしては、その前に行われるG2、G3レースも気になるのではないでしょうか。
勝負の舞台はここだ!注目8大会を徹底解説
シリーズを通して代表争いに影響を与える重要なレースが、2025-26シーズンでも続々と発表されています。
実力者が集うG1大会から、若手が台頭するきっかけとなるG2・G3大会まで、それぞれのレースには異なる意味と見どころがあります。
この章では、注目される各大会の特色を紹介します。
防府読売マラソン【G1】|若手の登竜門として知られる大会
防府読売マラソンは、1970年にスタートした歴史ある大会で、年末の風物詩として多くのマラソンファンに親しまれています。
例年12月に山口県防府市で開催され、若手ランナーの登竜門としての側面が強い大会です。
かつてはカネボウ陸上部の強化を目的とした色が濃く、現在は国際色豊かな選手が参加するなど、長い年月を経て大会の役割も広がってきました。
2025年大会はMGCシリーズ2025-26のG1大会として設定されており、年末に向けて勢いをつけたい選手たちの熱い走りが期待されます。
特に「6位以内かつ2時間9分以内」などの明確な条件を満たすことで、MGCへの道が開かれるため、この大会での結果は選手にとって非常に重要です。
なお、防府読売マラソンは、福岡国際マラソンと同日の12月7日(日)に行われる大会なので、どちらもライブで見たい人には悩ましい所です。
福岡国際マラソン【G1】|伝統と実績、世界からも注目
福岡国際マラソンは、1947年に始まった日本最古級の男子フルマラソンであり、長年にわたり世界トップクラスのランナーたちが集結してきた名門レースです。
1960年代から1980年代にかけては、世界最高記録が誕生するなど、国際的にも高く評価され、“非公式の世界選手権”と呼ばれるほどのステータスを誇っていました。
2021年の第75回大会で一度終了したものの、2022年からは運営体制を見直し、新たな形で再スタートを切りました。
開催時期は12月の第1日曜日、福岡市内の平和台陸上競技場を発着点とするフラットなコースが特徴です。
記録を狙える大会として現在も国内外の有力ランナーが参戦し、緊張感あふれるレースが繰り広げられています。
MGCシリーズ2025-26では、福岡国際マラソンがG1大会に指定されています。
日本人選手にとっては、トップを狙うことでMGC出場に直結する大チャンスであり、終盤の高速スパート合戦が勝敗を左右する重要なポイントとなります。
特に近年は「復活をかける実力者」と「勢いのある若手」がぶつかり合う構図も多く、代表争いの行方を占うレースとして注目を集めています。
別府大分毎日マラソン【G1】|風との戦い、実力者が集う冬の名物
別府大分毎日マラソンは、1952年に創設された伝統ある大会で、通称「別大(べつだい)マラソン」として広く知られています。
大分市と別府市を結ぶ海沿いのコースは、最大高低差が約7メートルと非常にフラットで、見た目には走りやすそうに映ります。
しかし、沿岸部特有の海風が選手の体力をじわじわと奪うため、後半は風との戦いになることが多く、記録を出すのは決して容易ではありません。
かつては、別大マラソンの翌週に東京国際マラソン(男子エリートの大会)が開催されていたため、選手の出場が分散しやすい傾向がありました。
しかし、2007年に東京マラソンが市民参加型の大規模大会へと変わったことで状況は一変し、エリート選手が別大マラソンを選ぶようになります。
その結果、記録と代表争いの両面で注目される大会へと再び存在感を強めてきました。
MGCシリーズ2025-26ではG1大会に指定されており、東京マラソンの直前に行われることから、シリーズ終盤でアピールを狙う選手たちにとって貴重なチャンスとなります。
風との厳しい戦いを制してMGC出場に近づけるか。
別大マラソンは、今年も勝負の舞台として多くの注目を集めそうです。
大阪マラソン【G1】|びわ湖との統合で選考レースの本命へ
大阪マラソンは、2011年に市民参加型の都市型マラソンとして誕生し、大阪の名所をめぐるコースやチャリティー色の強い大会テーマで多くのランナーに支持されてきました。
当初は市民大会としての色が濃かったものの、2022年に伝統あるびわ湖毎日マラソンと統合されたことで、レースの性格は大きく変わりました。
統合以降の大阪マラソンは、エリート選手が集う選考レースとしての役割を担い、国際大会の日本代表選考にも関わる重要な舞台となっています。
開催時期は2月下旬と、春の東京マラソン直前に設定されており、仕上がりの早い選手がここで代表争いに名乗りを上げることも多くなっています。
コースは大阪城公園を起点に、御堂筋や通天閣、中之島など大阪の象徴的な街並みを駆け抜ける設計で、平坦かつスピードに乗りやすい特徴があります。
沿道からの声援も力強く、出場選手にとっては記録を狙うと同時に勢いづくレースになりやすいと言えるでしょう。
MGCシリーズ2025-26ではG1大会に指定されており、好タイムや順位次第でMGC出場権を獲得できる可能性があります。
びわ湖との統合以降、選考レースとしての注目度も急上昇しており、今シリーズにおいても「本命大会のひとつ」として、多くの注目を集めることになりそうです。
東京マラソン【G1】|世界トップと競う国内最大級の舞台
東京マラソンは、2007年にスタートした都市型の大規模マラソン大会で、国内外のエリート選手から市民ランナーまで、約3万5千人が東京都心を駆け抜けます。
2013年からはワールドマラソンメジャーズ(WMM)に加わり、ニューヨークやボストン、ロンドンなどと肩を並べる世界的なレースのひとつとして定着しました。
例年3月の第1日曜日に開催され、スタート地点の東京都庁前から、銀座や雷門、日本橋などのランドマークをめぐるコースは、世界中のランナーから高い人気を誇ります。
国内レースの中でも群を抜いたスケールと注目度を誇り、海外のトップランナーとのハイレベルな競り合いが見られる点が最大の魅力です。
MGCシリーズ2025-26においても、東京マラソンはG1大会に指定されています。
実力者たちがこぞって出場するため、まさに「代表選考の最終決戦」といえる位置づけです。
国際大会と同等の緊張感の中で、自分の力を証明しなければならず、その重圧に打ち勝った者だけが、MGCへの切符を手にすることができます。
また、世界の強豪と肩を並べて走る経験は、選手の成長にとっても貴重な機会です。
日本人選手がどれだけ世界と戦えるかを示す場としても、東京マラソンは他の大会とは一線を画しており、シリーズ後半の最大の見どころとなるレースです。
北海道マラソン【G2】|真夏の札幌で力を試す選考レース
北海道マラソンは、1987年から続く札幌市を舞台とした夏季フルマラソン大会です。
例年8月下旬に開催され、スタートとフィニッシュは大通公園。
都市中心部を駆け抜けるレイアウトながら、札幌の自然と調和した美しいコースが特徴です。
この大会最大の特徴は、夏の厳しい気象条件です。
日差しや湿度の高さが選手の体力をじわじわと奪い、後半にかけて脱落者が続出する展開も珍しくありません。
そのため、北海道マラソンでは記録よりも「気象条件への対応力」や「暑さの中でも崩れない走力」が求められます。
以前から世界陸上やオリンピックの代表選考レースとして活用されてきた実績もあり、夏場にどれだけのパフォーマンスを出せるかが評価される数少ない舞台です。
2025年大会も、MGCシリーズのG2大会として指定されており、特に「勢いのある選手が名乗りを上げる場」として期待されています。
夏マラソン特有の難しさに挑む選手たちの姿は、タイム以上に価値のある走りを生むことがあります。
秋冬の本格シーズンを前に、夏の札幌で爪痕を残せるか。
その結果が、シリーズ全体の流れに大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
長野マラソン【G3】|春に開催されるオリンピックの記憶を継ぐ大会
長野マラソンは、1998年に開催された長野オリンピックのレガシーを受け継ぐ形で、翌1999年から始まった春のフルマラソン大会です。
大会名にはかつて「長野オリンピック記念」の冠がついていました。
現在もオリンピック会場だったエムウェーブやホワイトリング、ビッグハットなどを通るコースが採用されており、オリンピックの記憶が息づく大会として広く知られています。
開催時期は例年4月中旬、春らしい爽やかな気候のもとで行われ、シーズンの幕開けを告げるレースとして多くの選手が出場します。
スタートは長野運動公園、フィニッシュは長野オリンピックスタジアム。
市街地から河川敷、そして競技場へと景色が変わっていく流れは、選手にとってもリズムを掴みやすく、走っていて楽しいと評判です。
MGCシリーズ2025-26ではG3大会に指定されており、直接的に代表争いに絡む場面は少ないものの、シーズン初戦で結果を残せば、その後の選考レースに向けた自信と勢いに繋がります。
また、気候条件が安定していることから、レース経験を積みたい若手や、コンディションの仕上がりを確認したい選手にとっては非常に価値のある舞台となります。
長野オリンピックの記憶をたどりながら、春の長野を駆け抜ける。
そんな情緒ある大会で好走を見せた選手が、シリーズの“伏兵”として台頭する可能性もあるでしょう。
神戸マラソン【G3】|秋の関西を駆け抜けるチャリティーマラソン
神戸マラソンは、2011年に始まり、「感謝と友情」をテーマにしたチャリティー色の強い大会として知られています。
毎年11月中旬に開催され、2万人規模の参加者が神戸の街を彩ります。
コースは2025年大会からゴール手前のアップダウンがなくなり、フラットな設計、スピードに乗りやすいレイアウトが特徴です。
序盤からリズムをつかんで押し切る展開が理想ですが、細かなアップダウンや海沿い特有の風の影響もあり、レース後半にかけて対応力が問われる場面もあるでしょう。
MGCシリーズ2025-26ではG3大会として追加され、今後の成長が期待される若手や、実績を積み重ねたい中堅選手にとって、シリーズ序盤で結果を残すチャンスとなります。
G1大会と比べると代表選考に直接的な影響を与える場面は限られるものの、秋口の重要な一戦として、シーズンの勢いをつかむうえで無視できない存在です。
代表争いに直結するG1レースと比べると注目度は控えめですが、好記録を出すことでその後のシリーズに弾みをつけることができる大会です。
秋のタイミングでどれだけ仕上げられるか、各選手の戦略と調整力が問われる1本となるでしょう。
まとめ:MGCシリーズ2025-26|勝負の舞台はすでに動き出している
- MGCシリーズ2025-26の対象大会が発表された
- 各大会はグレードによって代表選考への影響が異なる
- 特徴や開催時期に応じて狙いどころも変わる
MGCシリーズ2025-26では、さまざまなタイプのマラソン大会がシリーズに組み込まれており、選手にとってはどの大会を選ぶかが大きな戦略となります。
年末から春にかけてG1大会が続く一方、夏や秋のレースで勢いをつけた選手が台頭する可能性もあります。
シリーズ全体の流れを把握することで、代表争いの鍵を握る大会が見えてくるでしょう。